2013年
09月25日

顧客満足と価値の創造

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大袈裟な標題ですが・・・

秋分の日にかけての三連休に伊豆に旅行、西伊豆松崎の「長八美術館」に。長八は江戸時代の腕の良い佐官で土蔵やなまこ壁に使われる漆喰(しっくい)を使い西洋美術のフレスコ画やレリーフに勝るとも劣らない「漆喰鏝(こて)絵」という美術品を浅草観音堂や成田不動などに残した。これは関東大震災で焼失したが故郷の松崎の寺や学校に作品が残った。彼は佐官という建築技術を極め、新しい芸術という価値を創造した。それらは120年後の私たち顧客を満足させてくれる。長八の腕がいくら良くても、受け止める側=顧客の満足を得られなければ今日まで残らなかったはず。また、当時の人は、なまこ壁や建物の漆喰の白さは美しく感じていただろうが、まだ存在しない漆喰鏝絵を観たい、とは思わなかったろう。長八が新しい価値を創造したことで新しい顧客満足が生まれた。

「顧客満足」を自分の仕事に置き換えてみる。

先ずは残念な事例から。ポスターの仕様・数量・納期が提示されデザイン・制作・印刷までの入札。一円でも安い見積の企業が落札するシステム。落札企業の制作物は工数のかからない陳腐なデザイン。コスト最優先では致し方ないのか。用紙も低コストのものを選択したらしい。完成後の雨でコート紙のクレーのひびから水が染み込み印刷が台無し。これも致し方ないのか?漆喰の壁にひびが入り中の土壁、芯の骨組みが出てきて雨漏り、と同じだ。ポスターや壁は雨風に曝されるもの、このようなものは顧客満足どころか不良品だろう!

私たちの直接の顧客は入札を実施した組織だが最終的な顧客の満足は中間に入った彼らが保証すべきだ。入札を実施した組織には最終顧客が満足するような発注をする義務がある。不良品を提供するような業者と同じ土俵で戦わされるのはアンフェア。面白くない。

もう一つは良い事例、正確には良い勉強をさせてもらった事例。アマチュア コーラス グループが加盟する合唱連盟の理事長が連盟20周年誌を作りたいとのことで来社。印刷物の発注もしたことがないということで、もちろん初対面だが熱意は十分に感じ取れた。冊子の仕様、部数、予算をお聴きしたが当社の従来のやり方では赤字。お断りするような内容だったが、なぜか、お引き受けした。その時、自分自身で決めたことは「絶対に赤は出さない」。いつも通り原稿を制作山口に見せたが、ページに収まりきれない文字量の原稿が続出、写真は粗いものばかり。彼は困り果てた様子。お客様に相談「縮小して各ページに収まればよい。縮小率はページごとにバラバラでもよい。写真は基データが悪いのだから仕方ない」とさっぱりしたもの。ここで制作担当をプロ山口からアマチュアの坂本に交代。お客様とのコミュニケーションはしっかり取ったが、あとは乏しいエクセルの知識だけで対応。先日納入して、大変喜んでもらえた。普段のB2Bとは違うB2Cの顧客満足を実感できた。私にも満足感がのこった。


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